ドラゴンハート −偽総研的幻獣辞典第三夜−
ドラゴン。
西洋、東洋を問わずその存在を信じられていた、巨大な爬虫類に似た、
しかしただの巨大な爬虫類ではない超存在。
そもそもなんでこんな存在が信じられたのか?
またなんで西洋と東洋ではこんなに違った存在なのか?
そもそも巨大な爬虫類の存在、というと。
現在の人間にこれを聞いた場合にはまず間違いなくこう答えるだろう。
「恐竜」と。
太古に存在した大型は虫類、恐竜はすでに絶滅してしまったわけだが
しかしその骨が石になり残ることがある。化石だ。
巨大な骨、巨大な生物。
それを見た昔の人たちは何を思っただろうか?
「この怪物の骨は一体何だ?」
ここで問題がある。
この骨、何の骨だか見ただけでは普通はわからない。
想像するったって近いものが何かわからないし。
ところがまあ世の中には識者とか言われる人たちが居たりする。
でこの識者がこんなこと言ったりするわけだ。
「うーんこりゃあれだ、トカゲっぽいなあ」
「トカゲ?そんなもんなの?」
「そうだ。大きさは違うがトカゲだ」
そういわれるとそんなもんかなと、皆納得する。
でかいトカゲ…でかいトカゲー。
その想像のトカゲに尾ひれがついて、角やらとげやらつくのは時間の問題。
尾ひれやら角やらとげやらはまあいいとして、西洋のドラゴンに
翼があることがある。
翼っていろいろつけるにも程があると思うんだが。
その翼では飛べないと思うのだが。
それはおいといて(置いとくのか)話を中国のドラゴン、龍に移すことに
しよう。中国、これがキーワードだ。
後漢末の学者・王符の唱えた九似説では、頭は駱駝、角は鹿、目は鬼、
耳は牛、腹は蜃、鱗は魚、爪は鷹、手の平は虎に似ている、ということだが。
それにしてもいろいろあわせ過ぎだろ。
中国の龍の特徴だが、長い。間違いなく長い。
何で長い龍を思いついたんだろうなあ。
ところで中国の首長竜の化石を見たことがあるだろうか。
長い。首が長い。いや長いって。
そんなながい首長竜の化石を昔の人間が見たとしよう。
「何じゃこりゃあああぁぁぁ!」
「これはトカゲのようじゃが…長すぎじゃあああぁぁぁ!!」
「ああっ、長老がまた発作を!」
何故かはわからないが、とにかく首が長いやつがいたのだ。
そんなものを見た人たちはもうパニックよ。
ただま、パニックになっただけではなくそこから想像もとい妄想が
いろいろ付け加わるのは中国でも一緒だった。
それに加えて、中国にはある特殊な技術があった。
「化石からよみがえれ古代鳥!そしてよみがえれ古代竜!化石融合!!」
…待ておい。それって…。
中国や日本には結構そういう別種の生物のミイラなどを組み合わせて、
カッパやら人魚やら作る技術があったりした。
ある意味偽造っす。
ていうか人魚もカッパも本物は見たことないし居るのかわからないし。
そんな人間の想像力につけこんで合成幻獣を作り出す。
いい商売だなオイ。
実際江戸時代など、合成幻獣が輸出されたという記録もある。
つい最近も複数の化石を合成したものが新種だと認定されたり。
専門家すら見破る合成化石の作者はある意味すごいよな。
でだ。西洋のドラゴンに翼の話に戻ろう。
化石って水の流れなどで複数たまるところとかあったりする。
もし複数の化石をひとつのものだと思ったとしたらどうだろう。
系統分類学とか解剖学なかった頃だ、一緒のところにあるなら
同じ生物の骨だと思ったに違いない。
意図的にでは無いにしろ、ドラゴンは融合して生まれたのだ!!!
まあもっとも、恐竜とかのサイズとか考えたら、ドラゴンも恐竜も
とんでもない存在であるのは確かだなあと。